2017年4月2日日曜日

バルトーク歌劇「青ひげ公の城」

 
 音楽仲間の紹介で、バルトークの歌劇「青ひげ公の城」を聴きました。青ひげ公の城はあらすじだけ頭にいれて、以前聴いたことがあるのですが、今回はバラージュ・ベーラの台本を読んでみました。
 ユディットという女性は、父母、兄弟、許嫁すら捨てて、自分の意思で青ひげの城に来たのですね。青ひげの城の、しめった壁をかわかし、冷たい石をあたため、窓を開け日の光を指すために。
...
青ひげは7つの扉を持っていて、ユディットの求めに応じて、ひとつひとつ鍵を開けていく。
 第1の扉は「拷問部屋」。第2の扉は「武器の部屋」。第3、4の扉は「宝石」「花園の部屋」。第5の扉は「広大な領地の部屋」。どの部屋にもなぜか血痕がついている。第6の扉は、静かな白い湖が見え、それは「涙だ」と青ひげは言う。ユディットは今まで愛した女が殺されたのではないかと疑う。そして最後の第7の扉を開けると、青ひげかかつて愛した朝の女、昼の女、夕方の女が着飾って閉じ込められていた。青ひげはユディットを夜の女だといい、ユディットをとじこめ、第7の扉がしまり「もういつまでも夜だ・・夜だ・・夜だ・・」と青ひげがつぶやき幕となる。
 とても短いお話だったのですが、いろんな疑問が沸くお話でした。ユディットは青ひげを「救う」ために、身内を捨てて城までやってきたのか、「血痕」の意味は、青ひげの権力と富は虐げられている民の犠牲のもとに成り立っていると解釈するのか、なぜ女達が第7の部屋に閉じ込められているのか、征服しても人形のような女達に青ひげは安らぎや愛を見いだせるのか、最後に青ひげが「夜だ、夜だ」とつぶやいたことは、青ひげはユディットを閉じ込めたことを本当は望んでいなかったように聞こえ、もう自分を救ってくれる女は現れないという絶望の意味なのか等とても謎めいたところのあるお話でした。
 アルバムは、私はオッターが好きなので、オッターがユディットを演じた盤にしてみました。
1時間のオペラですが、起伏があって素晴らしかったです。広大な領地のシーンは、ワーグナーのような壮麗な音楽でした。
ベルナルト・ハイティンク指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms)ジョン・トムリンソン(Bs)シャンドール・エレース(語り)

0 件のコメント:

コメントを投稿

「古楽でめぐるヨーロッパの古都」  by 渡邉温子 2016年7月出版

 筆者はチャンバロの演奏家。旅が好きで、この本は訪れた街の古楽についての紀行文になっています。  古楽というとイタリアをまず思い浮かべるのですが、この本では、スペインやメキシコまで取り上げられているのがユニークでした。「セビリアの大聖堂」で鳴り響いていたアラオホ、モラーレス、...